Teruo Watase


渡瀬輝夫


大学卒業後、念願の総合商社に就職し海外との繋がりを実現したのを機に、何千円から何百億円のプロジェクトまで経験させてもらい、メーカーとの合弁事業の立ち上げなどもやりました。
楽しい仕事もありましたが 精神的・肉体的にもきつい仕事が殆どでした。

メキシコでの発電所プロジェクトを手掛けていた時に縁あって転職の機会があり、メーカーの代表として引き続きメキシコの駐在となりました。
商社の仕事では最後に発電所という大きな仕事で社会の役に立つことができたのですが、転職したメーカーの仕事は商品の価格がけた違いに小さなもので、これを大量に売るという目標を実現する為に今までの経験をどの様に生かせるか最初は孤軍奮闘で走り回りました。350人もの従業員を抱えていながら経費のコントロールができていなかったので完全に赤字体質でした。
年初に作成している売り上げ目標は、全国に20か所の営業所がありながら、その数字の積み上げではなく本社が勝手に作った数字が使われている始末でした。
これでは目標など実現できる筈もありません。
これらの基礎から全てを一人で再教育し、更に財務面ではキャッシュフロー表も作っていなかったので、本社への買掛金の支払いを一年延期して貰うなど 経営の基礎固めから再出発でした。
海外の子会社の経営というのは “一にも二にも売り上げ次第” というのが理解できたので、自分は営業に専念する為に非営業部門(財務・経理・総務)を任せられる人材を確保する為に、商社の最後の仕事で合弁相手の経理を任されていた女性を探してヘッドハントする許可を本社に要請せざるをえませんでした。 
この経営方針がその後の子会社の業績を、右肩上がりに実現できたと考えています。
メキシコには税前利益の10%を従業員に分配するという制度があり、従業員にはこの制度を十分に理解させた上で、経費を削減して利益をあげれば自分達の懐が豊かになるという事を実現して ’安心して働ける‘ 職場を実感して貰えました。

この経験は後に手掛ける事になったペルー・チリ・コロンビアの子会社の経営においても非常に役にたちました。
海外での会社経営は ‘従業員を安いから使うという’ 発想ではなく、’仕事をする為に庭先を貸して貰ってる‘ という謙虚な姿勢が必要だと思った次第です。
これから海外に進出しようという会社には是非このフィロソフィーを理解して貰えたらと考えています。
またこうした経験がお役に立つことがあれば、協力は惜しみませんので声をかけてください。